逆ギレ劇場

感想や気付きなど。たまにキレる。

『JOKER』を見た。

お疲れ様です。

先日、去る10月6日(日)JOKERを見ました。

前評判もよく、公開直後に見た知り合いの感想も良かったのですわ見に行かんと。そしてとても良かった。見終えて思い返すたびに、「いやでもそんなに絶賛される感じだったっけか」という、良さが薄れる感覚はするのですが、同時にちょっとしたシーンを思い出すと「もう一度見直して、細かい演出とか意味合いとかを考えたいなぁ」という気持ちになっています。Blu-rayは欲しいかなぁ、という気持ち。私が中高生だったら、すぐプロフの好きな映画に書き足していたなぁ。

 

先にこれから見る方へのお知らせ、少しでもお役に立てば。

バットマンを知っていた方が良いのか?

→知らなくても大丈夫。

JOKERの人生のお話なので。ただ、バットマンの本名と稼業ぐらいは知っておくと捗る。今後描かれるバットマンとJOKERの関係性の発端を探る旅としては、思い出景勝地というか、そういう趣に触れることはできるので。「知ってる」と「わかる」ので楽しいと思います。

 

・怖い映画なの?

→怖くないです。

物理的に痛いシーンは、カメラの視点がその現場を移さないようになっているので、直接的に痛々しいというシーンは、そうないと思います。移入して見ていくと、精神的には怖いというか辛い部分はあります。あと拳銃の音とかはびっくりした(感想)。単純に、急にでかい音がするので。

 

・犯罪を誘発するの?

アメリカでは犯罪誘発抑止として、手荷物を検査をしたり、などという動きがあるようですが、そんなにみんな他人へ感情移入する??そんな?そんな人、普通に生活していてあまり見ないのですが、本当にそんなにみんなセンシティブ?と問いたい。し、アーサーの人生・社会的状況に移入できるぐらいの方は、恐らく理解力と分別があるので、映画の中で描かれることはそれはそれとして受け止め、引きずらないんじゃねぇの、と思います。あと移入したところで、俺らアーサーじゃねぇし、どっちかというと周りのピエロだし。でもカリスマがいないからピエロにもなれなくない?という気持ち。

アーサーの人生を尊重したいからこそ、簡単に成り代わったりできないでしょ……。

 

ただ作品の美しさや余韻はあるし、あの時の感情……と追体験したくなる気持ちはあると思う。そういう引っ張られ方はするかもなーとは思いました。

  

下記は見た後すぐに呟いたツイートです。ネタバレは別にないと思う。

主役の方がめーちゃくちゃに良かったですね、瞳がきれいで所作も動作も美しくて、それでいて構図がバチバチに決まってて、美しい、眼が気持ち良い、映画として素晴らしい映画だったと思う その気持ち良さが半端ないなーと思いました。圧倒的な画面で描かれるJOKERの格好良さね…良かった。

画が良い。音楽の感じも良かったし、あとはウェイン家との確執が立体的に感じられたのがとても良かった。バットマン見たくなった。日常的な視線から悪役描くことの凄味って感じで、ファイトクラブを自己破壊と読み解くときに並べられるのはわかるなーという感じだった。

主人公のアーサー、瞳に憂いを湛えたインテリフェイスで、煙草吸う仕草はどれをとっても漫画か?というぐらいキマっていて、オタクは好きだと思うから見て欲しいけど、それを抜いても画面の真ん中に人を配す構図がこんなにキマる!?となるので役者パワーがすごい。映画的で良い。

やっぱバットマンと繋がりがあるとこに思うところがあるというか、いうてもバットマンの敵だもんな…バットマン見返したくなるし、あぁーここで因縁が……てのが、萌えじゃないけどグッとくるものはあるよね、という

同行者と私で期待値に差があることにより鑑賞後の感想に隔たりがあったが、「作品に美学があり、提示される美しさのラインがしっかりしている」という点は合致したので、美しいJOKER、皆さん見て下さい。あとなんか犯罪誘発するみたいなのは全然わからんかったです。

こうして見ると、Twitterは文字数制限があるから、言いたいことを短くまとめる努力はされているな、と思った。 

 

とにかく絵的に綺麗で、美しい、ちゃんと美学の通っている感じがすごく気持ちよかったです。アーサーの二次創作をするのは難しいけど、でも絵を描ける方ならファンアート描きたくなるのでは、と思いました。例えばタバコを吸う所作とか、ダンスシーンとか、物悲しい憂いた瞳とか、オタクの好きなビジュアルじゃん? ビジュアル、ハンサムとかそういう直接的な表現ではないけど、妙に色気があるというか、ハマった見栄えなので、なぞりたくなる感じはあるかも、と。

 

この辺からネタバレあり。

 

ていうのが外側の感想なんですが、ストーリー自体はまぁ悲しいですね。辛い。社会も家庭もアーサーにとって快いものではないし、止むに止まれず、という環境の中で彼に何ができた?と思うし。でも悪意・狂気?が溜まっていき、結果振り切れてJOKERとなった時のTV出演シーンがめちゃくちゃ輝きますよね。スピーチか?というぐらい、JOKERの話す言葉がビシビシとこちらに伝わってきて、すごい見応えであることよ……と思いました。

ただまぁ悲しいのが、警察に捕まって護送されている所に車が突っ込んできて気を失ったJOKERが、ピエロ姿の若者に車から引き摺り出されるシーン、なんて悲しいんだろう、と。そもそも追い立てられ、仕方なく、やむなく発砲をしたところからJOKERへ至るきっかけが拓かれますが、でも基本や「しかたない」だと思うんですよね。なのにTV出演後、勝手に焚きつけられた街の暴徒に引き摺り出されて、祭り上げられる。カリスマとして据えられてしまう。

こんな悲しいことってある……本当ここが無性に悲しいなぁ、と思いました。個の話だったのに、自分の人生引き受けるだけでも大変なのに、そんな暴徒に祭り上げて大衆と対峙するなんて、彼のしなくてはいけないことかね、という。

 

でも拘置所で面談しているアーサーはめちゃくちゃかっこいい、タバコを吸う顔のアップも、光の方へ血塗られた足跡で向かっていくシーンもめちゃくちゃ印象的で格好いいんですよね……。第二の人生が見つかってよかったね、という気持ちにすらなる。

し、これから因縁のウェイン家とばちばちバトルを繰り広げるのかと思うと、それはそれで「うぅむ、いいね……」という気持ちにもなり。

 

そこまで考えるとバットマンシリーズも知っているといいなーと思うけど、でもまだ間に合うので、バットマンシリーズを見よう。といって私も古い作品などは見ておらず、クリストファー・ノーラン三部作を見てめっちゃいいな、と思って、それきっかけで最近のマンオブスティール、バットマンvsスーパーマンとかも埋めていきました。ジャスティスリーグであなたの特殊能力は?と聞かれて「Super rich.(金持ち)」っていう姿もいいし、ノーランシリーズのどんづまってるハードボイルド主人公もめちゃくちゃかっこいい。

でもその姿を知っていると、あの暴動の最中にウェインがバットマンになるきっかけがあったのか……と萌えるというか思うところができるので、まぁ知ってる方が楽しいは楽しい。しかしアーサーがウェイン家を訪ねた際にブルースぼっちゃまは小学生ぐらいに見えたけど、年齢差どれぐらいなんだろう。バリバリ実業家になったウェイン様とバチバチにやりあうJOKER 、すごくないっすか?

あと私、完全無欠のスーパーヒーローというものが嫌いで、人間味などがある方が心情を計れて楽しく好きなのですが、そういう感じでノーラン三部作面白かったんですね。バットマンはスーパーヒーローから普通の人と成り下がって血肉を得たのに、JOKERは悪役を紐解くと、普通の、市井の、一般人だった、という事実が悪役としての凄みを増していて、面白いな、と思いました。

どっちもいい。どっちもかっこいい。